寺伝によれば、今を去る約1300年前、聖武天皇の時代(神亀2年)、行基菩薩が白山に向かう途中、霊鳥(カラス)の導きで発見したのが現在の山代温泉と伝えられています。
薬師如来や日光・月光両菩薩、そして十二神将を祀る堂宇を建て、白山大権現を勧請、鎮守とし栄えましたが、その後は衰退し荒廃してしまいました。
長徳3年、花山法皇が北陸を巡る中で、その荒廃を嘆き、温泉寺を再興。そして、堀川天皇の御代、寛治年間に無住となっていた温泉寺に明覚上人が比叡山からお越しになり中興開山しました。
彼は悉曇学の泰斗であり、「悉曇大底」「悉曇秘」「梵語抄」を著し、「反音作法」の時には奥書に「加州隠者明覚」と記しています。その後、上人は温泉寺で「梵字形音義」、「四家悉曇記」「悉曇要訣」など多くの著作を残しました。
嘉承元年8月10日に上人は遷化し、京都の尊勝寺北東光寺に葬られました。しかし、天文21年に朝倉義景の兵火により全山堂宇焼失。江戸時代初期、大聖寺藩主前田利治候によって本堂が再建されました。そして昭和55年、山代温泉開湯1300年記念事業として、本堂の解体修理や観音堂、仁王門の新築、大師堂、山門の移築など、境内整備が有志の方々の寄進によって完遂されました。
❶ 山門
山代温泉の街に佇む朱塗りの山門は、周囲の風景と調和し、季節ごとに変わる生垣の美しさが、訪れる人々の心を惹きつけます。


❷ 仁王門
山門の先には、堂々とした姿の仁王門がそびえ立っています。その表門には、迫力満点の「阿形・吽形」の仁王像が厳かに安置されています。


❺ 本坊

❻ 観音堂(十一面観世音菩薩)
県指定文化財 もともとは大聖寺慈光院の尊い本尊でしたが、同寺が廃寺となり、その後当山に統合された際に、慈光院の宝物とともに当山へと移されました。この仏像は平安初期に制作されたと見られています。


❼ 行基菩薩御尊像
およそ1300年前、聖武天皇の御代に、行基菩薩が霊峰白山へ修行に向かう途中、一匹の烏(カラス)が羽の傷を癒している水たまりを発見しました。この出来事が山代温泉のはじまりと伝えられています。

❽ 鐘堂

❾ 薬王院温泉寺 本堂




❿ 水かけ不動明王

⓬ 白寿観音

白寿とは99歳を指します。白寿観音様は、長寿や健康維持、認知症予防などのご利益が伝えられています。
⓮ あいうえおの小径



薬王院温泉寺の境内から背後の山、萬松園へ登る石の階段。境内の裏にある四国八十八か所を模している。
⓯ 五輪塔

国指定重要文化財 明覚上人は平安時代後期に悉曇学を極め、「あいうえお五十音順」の創始者とされ、その供養塔が知られています。この凝灰岩製の五輪塔には各面に大日真言が梵字で刻まれ、美しい蓮弁円相が描かれています。その優雅さと全体の安定感ある形状から、建立された時期は鎌倉時代と推定されています。
境内ご案内

❶ 山門
❷ 仁王門
❸ 金毘羅堂
❹ 地蔵堂
❺ 本坊
❻ 観音堂(十一面観世音菩薩)
❼ 行基菩薩御尊像
❽ 鐘堂
❾ 薬王院温泉寺 本堂
❿ 水かけ不動明王
⓫ 大師堂
⓬ 白寿観音
⓭ 白山権現
⓮ あいうえおの小径
⓯ 五輪塔
アクセス方法
JRで
- 東京駅〜金沢駅(北陸新幹線で最速約150分)金沢駅〜加賀温泉駅(特急で約25分)
- 大阪駅〜加賀温泉駅(特急で最速約135分)
2024年春、北陸新幹線・加賀温泉駅開業
車で
- 加賀I.Cから(約10分)
- 片山津I.Cから(約15分)
- 加賀温泉駅から(約10分)
- 小松空港から(約25分)